Rで時系列分析:構造VARモデルと誘導VARモデル

Rでデータサイエンス

ベクトル過程

  1. 同時点で相互に依存し、
  2. 過去の互いの値にも依存し、
  3. システム外からの外生的なショックの影響を受ける、

K個の量的変数のt期の値からなるベクトル過程を以下の通りとする。

yt=(y1t,y2t,,yKt)

構造VARモデル

ベクトル過程の依存関係を以下の通り近似的に線形で表す。

Ayt=A1yt1+A2yt2++Apytp+Azzt+ϵϵtt=1,2,,T

ここで、

  1. zt=(z1t,z2t,,zqt)は外生変数や定数項を含むベクトルであり、ドリフト項、トレンド項、季節ダミー変数やその他のダミー変数が含まれ、確定項と呼ばれる。
  2. A,Ai(i=1,2,,p)K×Kの係数行列
  3. AzK×qの係数行列
  4. ϵϵtK個の撹乱項からなるベクトル

よって、K本の各方程式それぞれに含まれる係数パラメータの個数はn=K×p+qとなり、 K本の方程式を対象とする係数パラメータの総個数はN=K×nとなる。

構造撹乱項ベクトルϵϵtは以下の性質を持つ定常過程とする。

  1. 期待値が0E(ϵϵt)=0t=1,2,,T
  2. 分散はtに依らないVar(ϵϵt)=E(ϵϵtϵϵt)=ΣΣϵ=(σ11ϵ000σ22ϵ000σKKϵ)t=1,2,,T
  3. 異時点間の撹乱項は無相関Cov(ϵϵt,ϵϵs)=E(ϵϵtϵϵs)=0ts

よって構造撹乱項ベクトルϵϵtは以下のホワイトノイズとして表せられる。ϵϵtWH(0,ΣΣϵ)

誘導VARモデル

構造VARを内生変数であるytについて解いた誘導VARは以下の通りとなる。

yt=B1yt1+B2yt2++Bpytp+Bzzt+utt=1,2,,T 但し、

Bi=A1Aii=1,2,,pB=A1Azut=A1ϵϵt

誘導撹乱項ベクトルutは以下の性質を持つ定常過程とする。

  1. 期待値が0E(ut)=0t=1,2,,T
  2. 分散はtに依らないVar(ut)=E(utut)=ΣΣu=(σ11σ12σ1Kσ21σ22σ1KσK1σK2σKK)t=1,2,,T
  3. 異時点間の撹乱項は無相関Cov(ut,us)=E(utus)=0ts

よって誘導撹乱項ベクトルutは以下のホワイトノイズとして表せられる。utWN(0,ΣΣu)

2つの撹乱項ベクトル

構造撹乱項ベクトルϵϵtと誘導撹乱項ベクトルuutの間には以下の関係が成り立つ。

ut=A1ϵϵtutut=A1ϵϵtut=A1ϵϵt(A1ϵϵt)=A1ϵϵtϵϵt(A1)E(utut)=E(A1ϵϵtϵϵt(A1))=A1E(ϵϵtϵϵt)(A1)ΣΣu=A1ΣΣϵ(A1)

参照引用資料

  1. 村尾博(2019),『Rで学ぶVAR実証分析』,オーム社,pp.87-91

最終更新

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[1] "2024-04-13 09:33:05 JST"

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